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├── README.md
├── algo-trading-job-hunting.md
├── benefit-of-getting-masters-at-ethz.md
├── from-exchange-to-grad-school-at-ethz.md
├── low-cost-grad-schools.md
└── misc.md

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FILE CONTENTS
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FILE: README.md
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# はじめに

## 自己紹介

都内で育ち、東大工学部にある何をしているかよくわからないことで有名な学科を5年かけて卒業し、つい最近スイスのETH Zurichという大学の統計学の修士課程を卒業しました。このETH Zurichには、学部時代にも1年間交換留学していたので計3年在籍していました。その後、新卒でロンドンのアルゴリズム取引をやっている会社に就職して機械学習エンジニアとして働いています。



## なぜこんなものを書いているか―経歴ブートストラップ問題と不文律―

自分が海外で大学院を受験したり就活したりしてみた中で、もっと早く知りたかった事が結構ありました。例えば、海外での大学院出願や就活ではレジュメが大事になってくるわけですが、そういったゲームのルールを学部一年からよく知っていて入念に準備している海外の学生と、学部後半や修士になってからそれに気づく日本の学生では、結果に相当の差が開いてしまいます。ましてや、たちの悪い場合には、国内ではゲームの存在さえ知られていないために本来それをプレイしていたかもしれない人達がそれをスルーしてしまうようなケースもあるように思います。(アルゴリズム取引まわりの就活については特にそんな感じかなと思います。)ただ、そういう話というのは(日本語圏の)ネット上を探しても意外と見つけにくかったりする一方、当人は一度それを経験すると何だが自明になってしまうので、結局誰も日本語の記録を残さないままになってしまうことが多いように思われます。そういった暗黙知っぽいものを書き残しておけば、もしかすると誰かの役に立つのではないかと思います。



## 想定する読者層

過去の自分が知っておきたかったことを書くわけなので、想定する読者は当然、自分と似たようなゲームをプレイしたい人、あるいはどんなゲームがあるのか興味がある人ということになります。具体的には、海外大学院に行きたい人、海外で働いてみたい人、数学とか計算機科学が好きな人/得意な人、世界トップの数理/情報系の会社で働きいてみたい人、大学で成績を取るというゲームが得意な人あたりを想定していて、そういった人たちにとっては多少は参考になるかなと思います。



## 書いた話題/今後何か書くかもしれない話題

- [ETH Zurichでの交換留学→大学院進学の再現方法](https://github.com/kstoneriv3/tips-for-studying-and-working-abroad-ja/blob/main/from-exchange-to-grad-school-at-ethz.md)
- ETH Zurichで修士を取ると、どういったご利益があるか([下書き](https://github.com/kstoneriv3/tips-for-studying-and-working-abroad-ja/blob/main/benefit-of-getting-masters-at-ethz.md))
- お金のかからない非英米留学([下書き](https://github.com/kstoneriv3/tips-for-studying-and-working-abroad-ja/blob/main/low-cost-grad-schools.md))
- [海外Algo Trading就活](https://github.com/kstoneriv3/tips-for-studying-and-working-abroad-ja/blob/main/algo-trading-job-hunting.md)
  - トップの会社に入ると学部新卒年収5000万〜1億みたいな世界がある
- [自分がいちいち書くまでもないが、もっと知られていても良いんじゃないかと思う話](https://github.com/kstoneriv3/tips-for-studying-and-working-abroad-ja/blob/main/misc.md)

## 注意
記事の内容は2022年10月末(もしくは最終更新時)時点での個人的なの見解であり、情報の正確性の保証はありません。
当然ですが、ゲームのルールはご時世と共に変化していくものなので注意してださい。

これら記事について時々TwitterでDMを頂くことがあるのですが、自分のレスポンスがものすごく遅いことがあります。その点についてはご了承ください。


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FILE: algo-trading-job-hunting.md
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# 海外Algo Trading就活

## TLDR

- 東大理系の数学的地頭が上位1/4くらいの人が2\~3年スパンでしっかりと戦略的に対策をすると、英語が何とかなれば新卒年収3000万〜5000万の企業にまあまあの確率で入れると思う(米国なら5000万〜1億)

## はじめに

筆者は2022年11月からロンドンのアルゴリズム取引の会社に機械学習エンジニアとして就職する者です。就職先は、ちょっと前にKaggleのコンペを開いてたり、機械学習系のカンファレンスのスポンサーをしていたりしたところです。海外のアルゴリズム取引業界の就職に関しては日本語の情報が殆ど無いので、実際に体験してみてわかったこの業界の就活というゲームのルールをまとめてみたいと思います。ただ書いてる本人は、前年のサマーインターン経由で就職先から内定を貰ったものの、その後に新卒採用で応募した他社にはことごとく落とされています。まあ新卒採用の後半くらいになってゲームのルールを理解してきたような感じなのでしょうがないかなという感じです。それでも5\~10社くらい面接に進んで2\~3社の最終面接まで行ったので、書いている内容が酷く間違っているという事はないだろうと思います。(間違ってそうな点があればTwitter(@kstoneriv)か何かでご指摘ください。)

追記:こちらの記事はTraderやResearcherにより焦点を当てていますが、SWE系については[@Daiki_0613_さんの書かれた以下の記事](https://qiita.com/Daiki0613/items/7cc1374af31e021a09c5)が参考になると思います。

## アルゴリズム取引業界

### ビジネスモデル

アルゴリズム取引の会社は、株などの金融商品の将来価格を予測してそれに基づいて資産運用をしたり、複数の市場間や金融商品の間の価格の乖離ないし歪みを補正するような裁定取引をしたりしています。伝統的なヘッジファンドなどは予測/取引を人間が行うわけですが、代わりにアルゴリズムで自動的に取引することで人間よりも多くの商品をより短い時間スケールで取引ができるということが、アルゴリズム取引の会社の強みになります。この人間とは違った方向性での予測力を活かして収益を上げるというのが典型的なアルゴリズム取引のビジネスモデルです。

### 社員の属性

こういったアルゴリズムの開発/運用をするために、これらの会社では俗に言うクオンツやソフトウェアエンジニアなどが多く雇われています。クオンツはPhD持ちがかなり多く、相当にアカデミックなバックグラウンドの持ち主が多いです。ソフトウェアエンジニアのバックグラウンドについてはおそらくBig Techと大して変わらないような気がしますが、おそらく数理系のバックグラウンドの人が多め若干多めだと思います。社員の技術力が直接的に収益に結びつくので、会社としても技術力の向上を相当に重視していたりしますが、あくまでも稼ぐことが第一義である業界なので、例えばPreferred Networksとか大企業の研究所のような技術が強いことを一番のアイデンティティーにした集団とはちょっと違うかもしれません。

### 労働環境

たぶんそこそこホワイトな職場が多いと思います。たとえ業界内で最もハードな会社だとしても、寝不足で頭が回らないような状態になったらどうしようもないので、睡眠時間が十分に確保できる程度には余裕はあるはずです。自分の勤務先は英系でかつホワイトな労働環境を売りにしているところで、18時過ぎにはオフィスは大体空になっていて有給休暇が年35日あるという感じです。

### 立地

また、こういった企業は基本的はは金融都市に集中していて大半のオフィスはニューヨーク、シカゴ、ロンドン、香港、シンガポール、アムステルダムにあります。ちょっと昔までは東京にもオフィスが結構あったみたいですが、最近だと少なくなってきているようです。(東京だとCitadel, Two Sigma, Point72あたりのオフィスがあるみたいですが、アルゴリズム取引系はの採用は活発でないと思います。)[New Grad 2022 Quant Jobs chart 🐱‍💻](https://github.com/quantprep/quantnewgrad2022)という業界で新卒採用をしている会社の一覧を見てみると分かるのですが、大体本社はニューヨークかシカゴという感じです。ちなみに、ニューヨークやシカゴは頭一つ抜けて給与の天井が高く、他の都市の1.5\~2倍くらい出ているような印象です。(おそらく米ドルが強く、多分業界トップの本社が多いためです。)一旦どこかのオフィスで採用されれば米国に転籍するのは割と容易なようです。

### 典型的な職位

Tech系の企業にソフトウェアエンジニア(SWE)、プロダクトマネージャ、データサイエンティストのような標準化された職位があるように、アルゴリズム取引業界にも標準化された職位があり、具体的には以下の3つに大別出来ます。

#### 1. Quant Researcher

日本で言うところの、いわゆるクオンツというやつです。だいたい数理モデリング/プログラミングにかなり強く、金融商品の価格の予測と計算、ポートフォリオの最適な構成、そのリスク管理、取引執行の最適化などの様々な局面で使われるアルゴリズムの開発を担当します。数理モデリングとプログラミングのうち特に前者に強い人が多く、実際の取引に使われるコードを実装するのはSWEだったりすることも多いようです。予測を担当するQuant Researcherのスキルセットは、Big Techのデータサイエンティストと結構かぶるのではないかと思います。Quant Researcherは下記のQuant TraderとともにExploratory data analysisが業務に占める割合がある程度あり、Python(pandas, numpy, scikit-learnあたり)をある程度使うようです。

#### 2. Quant Trader

Quant Traderはアルゴリズムの執行、管理を現場でしつつ、Quant Researcherと協力してアルゴリズムの改善を行うというのが大まかな職務になります。どうやら、自動取引アルゴリズムの多くは全自動で最適なパフォーマンスが得られるようなものではなく、人間が市場の相場にあわせてて適宜のチューニングをしたり、必要に応じて手動で取引をするひつようがあるようで、それを行うのがQuant Traderの仕事のようです。あとは、Quant Researcherよりも市場での取引データを見ている時間が長いので、ボトムアップなアルゴリズムの改善にはQuant Traderが大きく貢献する余地があるようです。

#### 3. SWE

基本的には、Big TechのSWEと同じような職務ですが、数理モデルの実装部分、分散システム、データ基盤、FPGAあたりの募集がが多い気がします。数理モデルを実装するSWEはQuant Developerなどとも呼ばれることが多く、僕の仕事もこの亜種と言えます。他の種類のSWEについてはあまり詳しくないので割愛します。SWE職におけるのBig Techとの一番の違いはソフトウェアのユーザーが社内にいるのでフィードバックがもらいやすいことや、SWEが利益を直接生み出すフロントオフィスでなくミドルオフィスくらいの立ち位置になることだといわれています。

### 給与

Tech系企業の給与が分かるLevels.fyiというサイトを使うと、上記の新卒採用リストに載っている会社のSWEの給与が分かります。(このサイトは、米国のSWEの給与水準を日本のそれと比較して愕然とすることができる事に定評があるやつです。)たとえば、Jane Streetという業界トップの一角の新卒の給与を見てみると、ニューヨークの新卒1年目は年収300K-450K USD位になります。2022年10月時点での円安ドル高レートで換算すると、450K USDは6700万円位です。これは頭がおかしくそうです。(ちなみにJane StreetはOCamlを使っていることと比較的学歴フィルタリングが弱いことで有名な会社なので、OCaml好きなSWEの方はシンガポールか香港オフィスあたりに応募してみると良いかもしれません。)Quant TraderやQuant ResearcherはSWEよりも収益への貢献度が可視化されやすいので給与のブレが大きく、ニューヨークでこれらのトップ企業に入れば新卒1億なども普通にあり得る話でしょう。あと、これらの業界トップでインターンをするとBig Techの1.5\~2倍くらい出ると思います。自分も当然1億円ほしかったのですが、残念なことに自分の就職先は数倍のオーダーで業界トップから離されていて、給与で見ると日本で外資系企業に入るのと同じ位でした。(ロンドンの物価を考慮するとむしろ少ないという説もありますが…。)



## 就活におけるゲームのルール

ここからは、上記の3つの職種、特にQuant ResearcherとQuant Trader向け選考プロセスとその攻略法について書きたいと思います。個人的には5\~10社程度のQuant Trader、Quant Researcher職の面接を受け、SWEの面接は1社だけしか受けていないので、SWEについてはそこまでよく知りません。ただ、ネットでみた情報をもとに外挿すると、SWE系の就活は基本的にBig Techと同じで、加えて下記のQuant Trader、Quant Researcherの面接で聞かれる質問のうち比較的簡単なものが聞かれるといった様子のようです。特に数理モデリングに近いSWE職ではそういった質問がよく聞かれると思います。Quant ResearcherやQuant Traderの面接ですが、これらも形式的にはかなりBig TechのSWE面接に似ていて、面接官と上手くコミュニケーションを取りつつパターン化された問題を解くというものが多いです。どんなパターンの問題が出るのがという点については後述しますが、その半数以上はコーディング面接と同じく対策可能なタイプの問題になります。


### Resume Screening

まず最初の関門がResume Screeningです。会社のHPまたはエージェントなどを通して応募すると、レジュメをもとに面接に呼ぶ応募者が選ばれます。この段階で面接に呼ばれるには、Quant Trader、Quant Researcherともに以下の条件をある程度満たしていることが要求されます。
  - 理数系、特に数学、物理、計算機科学、数理ファイナンス、統計などを専攻
  - 地域でトップの大学に在籍
  - 高いGPA(体感としては名門大学なら上位20%、それ以外は5\~10%)
  - 良いインターン経験(そこそこ良い会社での、SWE、データサイエンティスト、金融アナリスト、トレーダーなどの経験)
  - その他、高い数理モデリング/プログラミング能力を示すもの(数学/情報オリンピック、プログラミングコンテスト、Kaggle、論文執筆など)
  - 英語力(技術的なコミュニケーションが出来ればOK)
 
ちなみに、ファイナンスの知識は、基本的に不問です。ただし学習意欲を示すという点では、10\~20時間位は勉強しておいて、CAPMとかBlack-Scholesとか聞いたことがあるくらいになっておくとと良いように思います。(数理系に強い人は、ここらへんの話は金融に行かないとしても知っておいて損はないと思います。)究極的な話、その人が雇うことで直接/間接的に収益に貢献しそうかどうかを面接に呼ぶことで確度高く判断できるなら誰でもOKなわけですが、概ね上記のような条件に収束するように思います。自分の場合は、ETH Zurichというスイスの世界ランク10位前後の大学で統計学修士をやっていて上位1\~2割位のGPAで、有名な機械学習周りのOSSであるOptunaの開発インターンをした経験があり、同じくOSSであるScikit-learnのちょっとしたデバッグをしたことがあるという状況でインターン応募時のレジュメが通りました。英語力については、基本的には専門分野の議論できればOKなはずで、あとは数理/情報系の能力との兼ね合いで足切りラインが変わるはずです。おそらく、東大や京大の上記の条件を大体満たす人は香港やシンガポールオフィスのインターンや新卒採用に応募すればいくつかのところではレジュメは通るんじゃないかと勝手に思っています。もしそういった方で自分の就職先を受けてみたいという人がいれば(インターン/転職)、レファラルしてレジュメの通過率を多少上げられると思うので、Twitterか何かで連絡してください。

加えて、Quant Researcherの場合には学歴の要求水準が上がり、理数系のPhDを要求する会社もいくつかあります。ただPhDを持っていなくても、数学オリンピックや情報オリンピックのメダリスト、GPAが異常に高い人などはほぼ確実にレジュメスクリーニングを通過できます。ちなみに自分がいまの就職先でインターンした後に応募したQuant Researcher職のレジュメの通過率は50\~60%くらいでした。理数系PhDというのはある程度の加点要素にはなるはずですが、必須というわけではないと個人的には思っています。こちらの海外クオンツ就活についての記事([内定者が考えるクオンツ・ヘッジファンドの就職対策](https://hajime77.com/entry/quants-hedge-fund-preparation/))ではPhD必須と述べられていますが、これよりは若干、要求水準が低いのかなという感じです。

もっと、詳しくResume Screeningについて知りたい方は、上記の[New Grad 2022 Quant Jobs chart 🐱‍💻](https://github.com/quantprep/quantnewgrad2022)などのリストにある会社の社員の経歴をLinkedInで調べてみると良いと思います。どのくらいの学歴/インターン歴/その他レジュメ上のスペックで、どの会社でインターン/就職できたかという事が大体分かります。


### Technical Screening

Resume Screeningを突破すると2\~4回の電話かビデオので技術面接があります。このラウンドでは概ねシニア以外のQuant Researcher、Quant Trader、SWEを相手に、かなりパターン化された技術面接をします。個人的にはネイティブスピーガーを相手に英語で電話面接をするのはややきついものがあり、問題設定を正しく理解するのに苦労する事も多かったです。一方Video面接では、こちらの理解度が表情などから伝わるので面接官もこちらに合わせてくれることが多く、多少難易度が下がる気がします。

### Onsite(≒最終面接)

Technical Screeningを突破すると、ついに最後の関門であるOnsite面接を受けることになります。Onsiteといっても会社によってはVirtual onsiteなどと言ってビデオ面接だったりすることもあります。このOnsite面接まではそこまで沢山進めていないので、あまりパターンを見いだせていないのですが、Technical Screening程は標準化されておらず、もう少し深みや特徴があるような問題も出題されるように思います。例えば、Jupyter notebook上でexploratory data analysisを行い簡単な予測モデル構築をするというような面接や、何らかのゲームの対戦相手の対戦履歴が与えられてそれをもとに相手に勝つ確率を最大化する戦略を考えるという面接、過去のの研究/インターン内容について発表/議論するというというような形式の面接もありました。また、Quant Trader向けのOnsite面接では、そこそこ速いペースで賭けを行いQuick and Dirtyな期待値計算の速さや正確性を問う、というような面接もあります。リクルータの話によると受験者の強みに合わせて面接内容を変えるという会社も多いらしいので、自分と違ってProgrammingが得意な人とかだと難し目のコーディング面接があるのだと思います。

ちなみに、これらResume Screening、Technical Screening、Onsiteのそれぞれ段階で概ね応募者は1/5 \~ 1/7に絞られると言われているようです。ただ、25\~49回面接に呼ばれれば平均一回通るのかと言われると、面接のパフォーマンスは独立でなく従属な事象なので、当然そういうものでも無いです。



### Quant Trader/Researcherの傾向と対策

さて、Technical ScreeningとOnsiteの半分以上を占めるパターン化された問題というのについて説明したいと思います。まず6割位の頻度で大学初等レベルの算数の問題が出題されます。たとえば以下のようなものがあり5〜10分くらいで回答することになります。

- コインを100回投げた時の、表の出る回数の期待値と分散をもとめよ。  
  - https://en.wikipedia.org/wiki/Binomial_distribution

- 線型回帰の最小二乗法による解(行列形式で)導出せよ。その係数の推定値の分布をもとめ、その際においた仮定を説明せよ。
  - https://en.wikipedia.org/wiki/Least_squares 

- サイコロを5個振った時の目の最大値の期待値を計算(or 近似)せよ。2番目に大きい値の期待値はどうか?
  - https://en.wikipedia.org/wiki/Order_statistic 

- 片側に3個ずつおもりを置ける天秤と、重さ1\~6までの6個のおもりがある。ランダムにおもりを選び3つずつ左右においた時、重たい側に重さ6のおもりが含まれる確率は? 
  - https://en.wikipedia.org/wiki/Bayes_theorem 

- トランプの山から3枚カードを取る。この中のハートのカードの番号の和の期待値を求めよ
  - https://math.stackexchange.com/questions/2203476/expected-sum-of-drawing-4-poker-cards 

- すべての要素が1である正方行列の固有値を求めよ。それらの固有ベクトルについて分かることを述べよ。 
  - https://www.quora.com/How-do-I-find-all-the-eigenvalues-and-eigenvectors-of-an-n-by-n-matrix-whose-entries-are-all-1s 

- 微分積分学の基本定理をつかって、積分剰余項付きの二次のTaylor展開を導出せよ。
  - https://en.wikipedia.org/wiki/Taylor%27s_theorem#Derivation_for_the_integral_form_of_the_remainder 

まあ、これらはぶっちゃけ、典型的な院試問題とか大学の入試問題と大差ないようにおもいます。もうちょっと難しいものだと、

- コインを表表裏のパターンが出るまでひたすら投げ続ける。投げる回数の期待値はいくつか?表裏裏というパターンとどちらが先に出る確率が高いか?
  - https://math.stackexchange.com/questions/2604935/expected-value-of-flips-until-hht-consecutively 
  - http://www.qbyte.org/puzzles/p013s.html 

- 円周上にランダムにn点を取る。すべての点が何らかの半円の弧上に収まる確率を求めよ。
  - https://math.stackexchange.com/questions/325141/probability-that-n-points-on-a-circle-are-in-one-semicircle 

- n席ある飛行機の搭乗時に最初の客が間違った席に座った。これ以降の客は可能ならば自席に座り、自席が埋まっていればランダムな席に座る。最後の乗客が自分の席に座る確率を求めよ。
  - https://math.stackexchange.com/questions/5595/taking-seats-on-a-plane 

あたりでしょうか。これらは、20分強かかってもOKだと思います。まあ基本的には、大学初年次程度の算数や学部上級レベルの確率統計に不自由していなければ、ある程度対策をすれば解けるようなたぐいの問題です。たとえば、コインの問題は初見で解くのは結構難しいと思いますが、これは単に頻出問題のパターンの一つなのでどちらかと言うと知識問題に近い位置づけだったりします。自分は2割位の面接でこの問題かその亜種を聞かれました。あと、もしも数理ファイナンスや確率論を専門にしていれば、もうちょっと高級な数学を使った問題も聞かれるのだと思いますが、自分はそういう質問はされませんでした。少なくとも、確率解析はできると加点要素になるというくらいで、できなくても大きく減点されることは無いものと思います。まあただ、確率微分方程式とかEuler-Maruyama法とかに対しての雑な理解くらいはあると良さそうな気はしますが。これらの問題は学部レベルの算数で解けるように出来ていますが、確率周りの小難しい問題は、離散時間のMarkov Process、Markov Decision Process(最近流行りの強化学習の基礎ですね)やExtensive-Form GameのBacktracking(動的計画とも言われる)による解法あたりをおさえておくと見通しが良くなるように思います。

算数ないし数学まわりについて、参考になる資料を紹介しておきます。まず手軽な資料としては以下のようなものがあり、これらを見ると大体どのような問題が聞かれるかは分かると思います。

- [Quant Primer](https://github.com/dwcoder/QuantitativePrimer/blob/master/src/QuantitativePrimer.pdf)
- [Quant Technical Interview Questions](https://pbenson.github.io/docs/quantTechnicalQuestions/quantTechnicalQuestions.pdf)
- [Quant, FM, and Data Science Interview Compilation](https://www.math.lsu.edu/\~smolinsk/Quant_Interview_Prep.pdf)
- [Sample Quant Exam](https://www.gresearch.co.uk/wp-content/uploads/2019/12/Sample-Quant-Exa.pdf)

また、この記事([5 Top Books for Acing a Quantitative Analyst Interview](https://www.quantstart.com/articles/5-Top-Books-for-Acing-a-Quantitative-Analyst-Interview/))にあるように、しっかりとした対策本も世の中に存在していて、その一部はネット上に転がっています。新卒採用でいろいろな会社の面接を受けてみた感触ですが、自分レベルの数学力/地頭でトップでの企業に入るには、これらの対策本のどれかを1, 2周する位の対策する必要がありそうでした。じゃあお前の数学力/地頭はどの程度なんだという話になると思うのですが、自分の数学的な地頭はすごく良いというわけではないと思います。自分は抽象度の高くない確率統計にはそこそこ強いですがその他の数学は苦手で、事実、院試ときに東大の工学系/情報理工学系受けて両方とも数学ができなくて落ちています。少なくとも東大理系の数理的能力が上位1/4くらいの人間なら、ある程度真面目に数理モデリングをやったら、間違いなく自分よりも強くなるでしょう。例えば東大の数理情報とか京大の数理工学あたりで問題なくやっていける人は、ある程度準備すれば純粋な数理能力が原因で落ちる事はないと思います。

算数ないし数学の問題の他には、Big Techのようなコーディング面接が2割くらいあります。これは完全にLeetcodeしておけばいいタイプの問題です。自分よりもプログラミングが強い人はもっとこの比重が高くなるだろうと思います。自分は、とある会社のTechnical Screeningで最適解がO(n)なことで有名な累積和の問題(https://leetcode.com/problems/maximum-subarray/ )をO(n^2)までしか解けなかったのですがそれでも通過したので、Quant ResearcherやQuant Trader職ではSWE職よりか要求水準が低いのだろう思います。あとは、就職先のインターンに応募した時に、一度だけSystem Designの問題を聞かれ、ものすごく酷い出来だったという事があるのですが、それでも通ったのでSystem Designはそこまでいらないのでしょう。

残りの2割は、過去の研究/インターンについての技術的な話を面接官とするというタイプのものです。これは過去の経験値を評価する側面もあるのですが、それと同じ位の比重で同僚と効率よく技術的なコミュニケーションを取る能力を見ているのだと思います。どこの面接でも大体同じような経験を話すので、場数をこなすに連れて、相手が興味を持ちそうな点や自分の大体の持ち時間などが分かるようになり、話すのが上手くなると思います。オンライン面接だとメモを読みながら面接を受けることができるので、自分は過去の経験をまとめたメモを作って面接時に開いていました。

(2026年1月追記)近年は、伝統的な算数・パズル的能力よりも、データサイエンス的なスキルに対する評価のウエイトが高まっているように感じます。本記事を執筆した当時と比べると、数理パズルの重要度は相対的に低下し、Jupyter Notebook等を用いてデータを集計・分析し、モデル化するような能力の重要度が上がっていそうです。また、かつては、数理的素養が高く、未整備な分野においても自律的に学習しながら研究開発を進められる人材として、物理・数学系の PhD が多く採用されていました。しかし、この10年ほどでデータサイエンス教育が体系化され、そうした教育を受けた人材が実務で活躍するようになったことを背景に、Quant Researcherとして新たに採用される人材のバックグラウンドにも変化が見られます。具体的には、分野面では純粋数学/物理から、計算機科学/数理ファイナンス/統計へ、学位面では博士号から学士/修士へと、多少のシフトが起きているように感じます。(追記終わり)

あと当然ですが、会社ごとに聞く問題の傾向があるので、面接前に「社名+ポジション名+Interview Question」でGoogle検索して出そうな問題の復習をしておくのはそこそこ有効です。個人的にはGlassdoorの過去の面接内容などが参考になったこともありました。自分では使ったことがないのですが、1Point3Acresという中華系コミュニティが情報共有に使っているサイトものがあって、面接内容が露骨にシェアされていたりして結構役に立つという話も聞いたことがあります。

最後に、Quant ResearcherとQuant Traderの面接内容の差について言及しておきます。Quant Researcherについては、複雑な問題を深堀して解決する能力などがより見られます。一方、Quant Traderについては正確性やスピード感、そういった面での多少のストレス耐性などがより評価されます。Quant Traderの面接では問題の難易度がやや低くなる代わりに、よりスピード感や正確性の要求が高くなるという印象です。一つの問題をじっくりと考えて解くのが好きな人はQuant Researcher向き、沢山の問題をスピード感を持ってザクザクと解くのが好きな人はTrader向きという感じでしょうか。



### その他の就活のコツ

その他の面接のコツとしては、その面接で何の能力が評価されているのかを意識し、可能なら探りを入れるというものがあります。アルゴリズム取引系の採用プロセスはBig Techの面接のように構造化されていて、求められているスキルがちょっと違うという程度の話なので、面接ごとに何が見られているかを適切に理解して振る舞うことである程度の評価ハックが可能です。(Big Techの技術面接については以下の記事が非常に詳しく解説をしています:[Twitterで医師を拾ってきて…](https://nuc.hatenadiary.org/entry/2021/03/31)、[Twitterで医師が拾われて…](https://nodchip.hatenadiary.org/entry/2023/03/03/205125))Quant TraderやQuant Researcher職では、確率統計まわりの算数の能力に加えて、1)CS/Mathの常識に基づいて、2)Systematicな再現性あるアプローチで、3)同僚と協力しながら、問題解決できること求められていて(※Juniorのポジションの場合)、各面接ではこれを更に細分化したスキルのうちいくつかを見ているわけです。何が求められているのかがわかれば、問題の解の事前分布を適切に設定できるので、求められている解のクラスがだいぶ狭まり、効率的に答えをみつけられるようにもなります。例えば、自分はQuant Traderの面接中に、深い思考力を評価するためのどちらかと言うとQuant Researcher向けの問題を出題されたのですが、スピード感を求められているのだと勘違いしてQuick and Dirtyなアプローチをしてしまい落とされたというような事も有りました。上記の対策をやって、どのようなタイプの問題がどのようなスキルを見るための出題されているかという土地勘がつかめるようになると、面接の突破率がだいぶ上がるのではないかと思います。

もう一つ就活のコツとしては、出来るだけ時間を確保してインターン履歴ののブートストラップしていくこと、インターン経由の採用を目指すことというのがあります。自分が新卒採用で最終面接まで行ったとあるトップ企業の社員の履歴をLinkedInで眺めてみると、ほぼ全員インターン経由での採用だったということがありました。企業は一度ローパフォーマーをを雇用すると解雇するのが大変なので、採用活動時にはリスク回避的になるわけですが、インターン経由での採用だとローパフォーマーでないかどうかの確認が確実にできるため、比較的採用の間口が広がるわけです。ちなみに、これは完全に負け犬の遠吠えになるのですが、自分は20〜30時間くらいの対策で、最終面接まではたどりつけたので、もしも仮にしっかりと対策をして、かつ戦略的にインターン採用の方に応募していれば、割と高い確率で入れたんじゃないかとおもっています。あと、こういう会社でインターンをするにはそれなりのインターン経験や実績が必要なので早いうちから戦略的に準備するのが当然大事です。こういった会社の殆どは2〜3ヶ月程度のサマーインターンを実施していて、その選考は前年のサマーインターン直後の時期だったりするので、インターンの2年前の時点で応募のための実績づくりを始める必要があるということです。あと会社によりますが、別に最終学年でなくても(理論上は)学部一年からインターンをとる会社がほとんどで、卒業後にインターンをしてその直後から新卒として働き始めるというような事も割とよくある話だと思います。卒業時期は良く聞かれますが、会社は大学ごとの卒業時期なんて知らないですしそんなもの個人ごとに違うので、自分にとって都合の良い卒業時期を、適当に申告しておけばOKだと思います。まあ要するに、時間をかけて戦略的にインターンを攻略するよいという話ですね。

## 最後に

・日本には数学/数理モデリングが相当に得意で多少はプログラミングができる学生はそこそこいると思うので、もし最低限の英語ができて、こういう世界が面白そうだと思うなら是非挑戦してみてほしいです。

・海外にはこういったぶっ飛んだ世界が広がっていたりするので、数学やプログラミングに限らず得意分野がある人は英語を何とかしつつ突き抜けてみてみると、きっとすごく面白い体験ができるんじゃないかと思います。

・界隈の先輩方、間違ってそうな所があったら修正いたしますので、Twitter等でご指摘いただけますとありがたいです。あと何か機会があれば、いろいろ教えてください。



## 補足

以下、記事の本筋とは、あまり関係ない話をします。


### アルゴリズム取引は社会悪か?

数理モデリングもプログラミングできるし英語も問題ないけど、アルゴリズム取引にあまり良いイメージがないという人向けにちょっと補足します。この手の話に興味がなければ飛ばしてください。たぶん読んでも時間の無駄です。

世間の一部の見方として、アルゴリズム取引業界というのは、一般人が株取引をするときに手数料をかすめ取る賤しい業界だというものがあるように思います。少なくとも自分はインターンをするまで個人的にはそんなことをなんとなく思っていました。しかし、いろいろと調べてみると、こういう業界もあった方が有益なのではないかと思うようになってきたので、そこについてちょっと書こうと思います。

世の中の企業は世の中に何らかの価値を提供してその対価をもらい収益を上げます。たとえば、Googleは検索結果、Appleは優れたUIを持った計算機、Microsoftはビジネスツールを提供しているわけです。それではアルゴリズム取引は世の中にどんな価値を提供しているかというと、株とか債権とかの金融商品の将来価格の予測値を提供しています。この予測値というのは経済活動についての天気予報のようなもので、より正確な予測が出来ればそれだけ効率よく経済が回せるので、それなりに価値があるわけです。

ではアルゴリズム取引の会社はどうやってこの予測値を社会に提供して対価を得ているかと言う話になるわけですが、予測値から計算できる適正価格(だと思われるもの)から、市場価格が乖離した際にその分を売買するという形で予測を提供し収益を上げるわけです。もし予測が正しければ売買することにより市場価格は適正な方向に多少修正され、同時に会社は利益を得られるわけです。もしも誤った予測をすれば、市場価格は間違った方向に多少誘導されますが、それ以上に取引相手が得をし自社が勝手に損をするだけなので、世の中的には大して問題は無いでしょう。

では何故アルゴリズム取引の会社が嫌われがちなのかという点ですが、個人的にはアルゴリズム取引の企業がその活動によって金持ちをより金持ちにするのに直接貢献するためだと思っています。アルゴリズム取引の企業を作るのにはある程度大きな額の投資資金が必要なため、それらの殆どは金持ちの私有企業になっていて、一番得をしているのは高給取りの社員ではなくオーナーだったりするわけです。まあ、こればかりは資本主義なのでどうしようもないと思うのですが、アルゴリズム取引の企業が嫌われるのも分かる気はします。

あと就職/転職先を選ぶ時に気になる点として、自分がどれだけのインパクトを世の中に与えているかという点があると思います。勝手な憶測ですが、研究者とかGoogleのエンジニアは働くことで世の中に100の正のインパクトを出してそのうち1\~5くらいを給与として貰ってるとすると、アルゴリズム取引業界で働く人はとかだと10\~30位貰ってそうな気がします。まあ、GoogleのエンジニアといってもYouTubeをいじって出来るだけ中毒性が高くなるようにするお仕事をしているとすれば、世の中にマイナスのインパクトを与えてそうですし究極的には個別の仕事内容よるとしか言えないですが。

ちなみに自分がこの業界で働くことになった理由は、Big Techに行ける程にはプログラミングが得意でなかったが数理モデリングは多少得意だったためです。あとは自分は将来アメリカに行って得意分野で一発当てたいと思っているので、得意分野のスキルを伸ばせて、挑戦のための種銭が稼げ、USのビザや永住権のスポンサーをしてくれそうな企業が多いというの点も理由でしょうか。


### アルゴリズム戦略の種類

(以下、2024年2月に追記)

自分が就活をしている間はあまり意識しなかったのですが、アルゴリズム取引と一言に言ってもいくつか種類があり、その会社が得意としているアルゴリズム取引の種類によって求められるスキルや面接で聞かれる内容にも差が出るので、それについて多少言及します。取引戦略を分類する際には、frequency(取引頻度)とasset class(取引している金融商品の種類)を考えるとよいです。

frequencyについては、明確な定義はないものの、金融商品の平均保有期間が1秒以下の取引戦略はhigh-frequencyで、数分〜数時間はmid-frequency、数日〜数週間はlow-frequencyというようにだいたい分類できます。High-frequency側では、システムのスピードが大事になるため、低レイヤや高速化などの計算機科学的な知識に対する需要が大きいように思います。また、Quant向けの面接では、Markov Process、Markov Decision Process、Zero-Sum Gameなどの話題がよく出るように思います。その一方、mid/low-frequency側では、Alternative data(リアルタイムの価格データ以外の情報源)を使って価格の予測をおこなうことが多く、そのため統計学的な知識やマーケットの理解などがより重視される気がします。また余談ですが、high-frequencyよりの戦略を取る企業はMarket Makerといわれるようなところが多く、市場間や金融商品間の価格の乖離や歪みを埋めるような裁定取引に特化していることが多いです。一方で、High-frequency側では投入資産を一定以上増やすと投入額あたりのリターン額が逓減するため、大きめのヘッジファンドはだいたいmid/low-frequencyよりの取引戦略を取っている傾向があると思います。

次に、asset classの観点からアルゴリズム取引の分類をすると、Equity(株)、Foreign Exchange(為替)、Fixed Income Product(債券)、Commodity(資源・農作物などの商品)、Derivative(これらの派生商品)、Cryptcurrency(暗号通貨)などがあげられます。正直、asset classについてはそこまで詳しくないのですが、Fixed incomeやDerivative辺りを扱う会社の選考では、確率解析や微分方程式辺りの数学力を重視している印象があります。実際、有名なBlack-Scholes方程式を使ってオプションの理論価格が計算できたりするので、さもありなんというところです。また、日本の新卒採用で見かけるSell side(銀行とか)のクオンツも、この辺りの商品のpricingを担当する人は同じような要件(以下の記事の金融工学クオンツ:
[クオンツになりたい人のための本15選‐金融工学クオンツに、おれはなる!!‐](https://quant-blogger.com/2019/11/13/book-for-fe/))で採用されているのではないかと思います。一方、自分の働いている会社(Equity + mid/low-frequency)にいるようなEquityのクオンツはこういったクオンツに比べるとそこまで数学的に難しいことはしておらず、もっとデータサイエンスチックなことをしているので、asset classごとに求められているスキルセットが変わるのだろうなと思います。



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FILE: benefit-of-getting-masters-at-ethz.md
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# ETH Zurichで修士を取ると、どういったご利益があるか(下書き)

- 専門性
  - 研究よりも授業が中心
    - 学部上級〜修士向けの専門科目が、どの分野についても一通り揃っている(日本だと、たまたま教授のド専門と被った場合にのみ開講されてる印象)
    - 自分の専門の土台部分がしっかりと鍛えれらる
    - 教育機関としては、日本の修士よりも有意に教育の質が高い

- 研究能力
  - 日本と違って比重が軽いので、その気がなければそこまで身につかない
  - ぶっちゃけ日本の修士課程は就職する学生に対して研究させすぎな気がするので、その位のバランスでもいいと思う

- PhDをやりたいなら、教授とのコネができる
  - Publishできそうな位の修論を自分が書いたら、指導教官がPhDやりたいならうちのグループでやってもいいで(意訳)くらいのことを言っている

- 英語がマシになる
  - 専門分野で仕事できるくらいになる
  - 会話力が向上するかは不明
    - 自分は学生寮に住んでいた結果、かなり会話力が改善された
    - 交換留学生が沢山住んでいる学生寮だったので、世界のいろんな場所に友達ができた
    - 不足する英語能力を言語関係ない会話能力で補う必要がでてくるので、そちらも改善される気がする

- ホワイトな労働文化を吸収できる
  - そうすると、日本に戻れなくなるかもしれない

- 高いQOL
  - 通勤ラッシュとか無い
  - 山と湖があって、春夏秋と楽しい
  - スキーがスノボが出来れば、冬も楽しい(はず)
  - 東京/NY/Londonみたいな超大都市が好きな人には若干退屈という説もある

- ある程度スイスで働けるようになる
  - スイスの労働環境は相当にホワイト、一人あたりGDPは日本の約2.2倍
  - しかし、EU圏外の労働者の新規雇用は、EU圏内で適任者が見つからない場合に限定するというルールがある
    - このためインターンが必須のプログラムで無いとスイスでインターンをするのはかなり難易度が高いが、インターンが必須のプログラムならインターン→卒業後就職みたいなルートがわりと簡単
    - 体感として、インターンしなくても理系の需要が高い分野の修士なら、より好みしなければどっかには就職できる
    - ETHの修士はインターンが必須でないものも多いが、EPFLの修士は大半がインターン必須という印象
    - ちなみにアカデミアにしか興味がない人は、研究室でのインターンという形でインターン科目の単位は取れる
  - 割と通年採用してるようなノリの所も多く、少なくとも日本とは新卒就活のスケジュールが違うので注意

- ドイツ語が話せるようにならない
  - 真面目に勉強しなければ、当然話せるようにはならない
  - チューリッヒのスイス人だいたい英語が喋れるので、ドイツ語を勉強するモチベーションが湧かない

- レジュメ上の強いシグナルが得られる
  - たとえば、別の記事にあるようなAlgo Tradingとかのスクリーニングにそこそこ通るようになる
  - 日本で就職する上では、普通にレジュメが通るようになって、留学の話を普通にしていれば基本OKになる(ガクチカというもので詰められずに済む)


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FILE: from-exchange-to-grad-school-at-ethz.md
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# ETH Zurichでの交換留学→大学院進学の再現方法

## TLDR

学部でETH Zurichに交換留学できるなら、戦略的に動けばそのまま大学院進学するのは割と可能。

## はじめに

つい最近、スイスのETH Zurich(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)という大学で統計学の修士を修了したのですが、自分のとった学部での交換留学→修士留学というパスに割と再現性がある気がするので、それについて書きます。宣伝ですが、ETH Zurichは世界ランキングで10位くらいの大学で、有名な卒業生としてはアインシュタインとかフォン・ノイマンがいたりします。あとは、学費が年20万円くらいなので生活費を含めても年間150\~200万円くらいと、米国や英国に比べれば比較的何とかできそうな範囲の費用で留学できます。まあ世界ランクが結構高いので、合格できそうな人ならば日本国内の奨学金をもらいやすいと思います。(自分は平和中島財団にご支援いただき、さらにM1とM2の間にインターンをしたので、むしろ貯金が出来ました。)ちなみに、修士の間に交換留学して博士から正規留学するのであれば、ETHはPhD学生に世界で最も給料を払う大学といっても過言ではないので(年500〜1000万円相当)金銭の心配はしなくてよいと思います。あとは、学部での交換留学中の単位を日本の大学の卒業単位として使わなかった場合、修士課程の単位として使える点も交換留学→大学院留学がおすすめ出来る理由の一つです。(詳細は[Recognition of study achievements (Master's degree programme)](https://ethz.ch/en/studies/master/application/eth-bachelor/recognition-study-achievements.html))

この記事は大学院留学したい人向けに書いているわけですが、2022年の時点で海外経験の浅い日本の大学生が大学院留学をするための最適解は、しっかりと[XPLANE](https://xplane.jp/)や[米国大学院学生会](https://gakuiryugaku.net/blog/%e3%83%90%e3%83%83%e3%82%af%e3%83%8a%e3%83%b3%e3%83%90%e3%83%bc/)の記事を読み、戦略的に勉学に励むことです。必要な情報はほぼすべてそこにあります。交換留学後に再度大学院留学を目指すケースに絞って具体的に考えると、学部生なら留学中に推薦状書いてくれる1\~2人を作り、現地の修士学生よりも有意に高いGPAを取れという話になり、修士学生ならPhDをしたい教授の元で半年〜一年かけて現地の修士学生よりも有意に良い研究をして論文を書けというだけの話です。この記事はそういった大筋ではなくて、学部生がETH Zurichでの交換留学を足がかりにして修士留学を目指す場合に、具体的に何ができるかという各論について書こうと思います。


## 関連記事

この記事はETHの交換留学についてある程度理解している人向けに書かれています。Google検索すれば大体分かることですが、交換留学自体の記事は、[東大の全学交換留学の留学体験談](https://www.u-tokyo.ac.jp/adm/go-global/ja/report-list-USTEP.html#ETH)あたりを読んでください。あと、自分と同じ学科の後輩が[学部3年で交換留学して書いた記事](https://github.com/Maemaemaeko/tips-for-exchange)があるので、こちらも参考にしてみてください。
ETHに修士留学したその先が気になる方は、その後PhDに進学された[朝倉さんのインタビュー記事](https://www.chem-station.com/blog/2020/06/eth-zurich.html)とかが参考になると思います。自分もETHで修士を取るとどんなご利益があるかについて記事を書こうと思ったのですが途中で力尽きています。だた、その記事の[下書き](https://github.com/kstoneriv3/tips-for-studying-and-working-abroad-ja/blob/main/benefit-of-getting-masters-at-ethz.md)は公開しているので、興味のある人は覗いてみると面白いかもしれません。


## 注意

この記事が想定している読者層は、成績を取るというゲームがそこそこ得意なアカデミックなタイプの人です。
ETHに交換留学で来れる人は基本的にある程度能力が高いと思われるので、多分本気でやれば再現できると思います。
あと、自分は統計/機械学習あたりを専門にしていて学部4年で1年間交換留学に行って学年を1つ落としているので、その辺りも加味して読んでもらえればと思います。
また、GPAやアカデミックな経験以外の強みを活かした戦い方もあると思いますが、自分はやったこと無いのでどうやったら良いかわかりません。



## ETHの修士・博士のAdmissionの基準

ETHの修士課程の選考基準はだいたい以下の6つになります。
- GPA
- 入学要件
- 推薦状(≒研究経験)
- Statement of Purpose (SoP)
- GRE
- 英語試験のスコア

個人的には、GPAと入学要件が最も大事で、その次に推薦状がきて、その他はそこまで大きくは合否には影響していないと勝手に思っています。入学要件というのは、修士課程ごとに定められた事前履修科目を学部のうちに取れる見込みがあるかという事で、これを十分に満たすことができないと足切りをくらうことになります。(肌感では最低でも9割くらいは満たす必要がある。)他の要素ついては特に具体的な根拠があるわけではないのですが、3年前の出願時に出願者のスペックとその合否が沢山載っている[The Gradcafe](https://www.thegradcafe.com/)というサイトをひたすら眺めていたときに、相当にGPA気にしていそうだなという印象を受けた記憶があります。あとは、修士課程の入学選考に教授クラスの人間がリソースをつぎ込むのは時間的にコスパが悪いので、かなり作業的に選考をしていると思っているためです。ETHでは教授は基本的にものすごく忙しいので、自分が予算を引っ張ってきて雇い指導する博士学生でもない修士学生の選考のために、そこまで時間をかけてSoPとか推薦状を読んでいるのかというとやや疑問です。まあ読んでるかもしれませんが、そんなに時間をかけて読んではいないと思います。当然修士課程の選考基準は米国大学院のPhD留学よりも有意にゆるくなるので、ほとんどの学生は修士課程の出願時にPublicationをもっていません(体感だと8\~9割以上の統計学修士の学生は出願時にPublicationなし)。Publicationのない学生の研究経験が推薦状に書いてあってもそこまでまともに評価できない気がするので、研究経験以外で特筆すべきことが無い限りは推薦状の威力もそこまで高くないでしょう。あとは、自分の応募したData ScienceとStatisticsの修士ではSoPの要求ページ数がかなり短かったので、それもそこまでSoPを重視していないことの傍証だと勝手に思っています。

## 入学要件

あと、ETHの修士の選考では、最初に入学要件を満たしているかをチェックしてスクリーニングするので、入学要件をきっちり満たしていることを書類上で主張する必要があります。([修士課程ごとの入学要件](https://ethz.ch/en/studies/registration-application/master/application/admission-prerequisites.html))出願の際に、履修科目名とともに科目の内容を記述する欄があるので、そこを利用して、ETHの事前履修科目に相当する内容をほぼ全てカバーできているということを書くというのがいいと思います。
一応、具体的に何単位以上欠けていると完全にアウトという基準はあって、それは上記のリンクをたどっていくと分かります。例えば、MSc Statisticsだと21ETCSの要件のうち、5ECTS(相当)以上必要単位が不足すると入学要件で完全にアウトになります。
入学要件が欠けた状態で入学許可が出た場合には、進学後の追加必修科目の履修などの形で不足分を取り切る事が卒業要件に追加されます。
余談ですが、ETHのMSc StatisticsはCSとかData Scienceと比べて入学要件が軽めで、スイス国内組はUniversity of St. Gallenという名門どころの経営/経済学部出身者がたくさんいたり、海外組も工学系の出身者が一定数いたりするので、数学系出身でなくても受かる可能性は十分にあるという印象です。
また、Robotics, Systems and ControlやData Scienceなどの人気の高いプログラムは入学要件が緩めなものの、Electrical Engineering, Mechanical Engineering, CS, Statisticsなどと比べて合格する難易度は高いので、事前履修が間に合わないからといってそちらを目指すとむしろ逆効果になることが多いと思います。


## GPAハック

GPAが大事だと書いたのですが、海外の一部の国ではGPAインフレーションというものがあるので、日本の出願者が素のGPAで戦うとわりと不利になります。そこで交換留学中に現地の修士学生よりも有意に高いGPAを取り、さらに推薦状で日本ではGPAのインフレが無いというようなことを述べてもらうというコンボがかなり有効打となると思われます。あと、他のヨーロッパの大学に出願する際にも、ETHという割とレベル感の知られた大学での成績があると出願者の成績評価がしやすくなると思います。(日本の大学を運営している皆さん、GPAをインフレさせるのは立派な国際化戦略です!)ちなみに、あまり知られていないのですが、ETHの修士課程の入学選考についてひたすらデータ分析する博士論文がオープンアクセスになっていてそこで、出願者や合格者のGPAや各種スコアを見ることが出来ます。Information Processing for Effective and Stable Admissionという論文で、例えば[52ページ](https://www.research-collection.ethz.ch/bitstream/handle/20.500.11850/117220/eth-49186-02.pdf#page=68)にある合格者のデータを見た感じ、外部から進学した修士の学生の平均GPAは5.1\~5.3くらいです。(ETHの成績は0.25刻みの1.0\~6.0というスケールで4.0未満が落単となります。)他にも、上記の[The GradCafe](https://www.thegradcafe.com/)や[そのデータを可視化できるサイト](https://gradstats.jjdv.xyz/)も参考になります。
GPAを上げるには、真面目に勉強するというのが当然一番有効なのですが、それ以外にも使えそうなテクニックがあるので、それらを紹介します。

### 科目を多めに登録しておいて、あとで落とす

ETHではmystudiesという履修管理システムが全学で使われていて、それを使って履修登録、試験の受験登録、履修済み科目、成績の管理などを行っています。このシステム上では試験の1\~2ヶ月くらい前までは試験の受験登録を解除できるので、履修科目のうち難しすぎるものなどを未受験にして成績表に表示されないようにすることが出来ます。ただし交換留学中は、この公式のシステムとは別の交換留学生用のシステムをつかって履修計画を作成してETHの交換留学担当者の承認を得る必要があるので、どんどん科目を切るわけにはいかないのですが、学期のはじめにそれらのシステムで若干多めに履修登録をしておいて1,2科目くらいこっそりに落としてもちょっと怒られるくらいで済むと思います。万が一、未受験の科目が成績表に反映されても、未受験なのであればSoPとかで適当に言い訳しておけば常識的に考えてGPAを計算するときに考慮されることは無いと思います。

あと、修士課程の学生は一学期あたり約30ECTS履修することを推奨されていて、実際には学期あたり25\~30 ECTS位とるのが普通なので、これに近い単位数を取れるとなお良いでしょう。
これは、取ってる科目数が少なければ科目あたりにかけられる時間が長くなるので当然GPAが上がるからです。
GPAと単位数のどちらが大事かという話ですが、個人的には成績を重視したほうが良いんじゃないか思っています。というのも交換留学生はスケジュール上忙しい傾向がありますし、新しい環境に来たばかりだとパフォーマンスは下がりがちなので、取得単位数がやや少なくても良いんじゃないのとは思います。
何の根拠もない個人の感想ですが、30単位で5.0よりかは25単位で5.5とかのほうが良い気はします。
ちなみに自分は交換留学中、秋学期に24ECTS、春学期に28ECTSとっていたようです。

交換留学時の履修計画について少し補足すると、自分が交換留学したときは、留学前に承認された履修計画は各学期のはじめに担当者の承認をもらった上で変更することができました。
おそらく、常識的な理由であれば学期あたり1\~2科目程度の変更、もし特別な理由があればそれ以上の変更が可能なので、交換留学前に承認をもらう段階では履修予定を軽めに組んでおいて、留学が始まってからちょっとした追加/変更をするくらいがちょうど良いのかなと思います。
余談ですが、交換留学前の承認をもらう際にあまりに攻めた履修計画(交換留学時点での事前履修科目の観点で)を出して、ETHの交換留学担当者に詰められたり、交換留学の開始時期を遅らせることになった例を見たことがあります。
交換留学前の履修計画には、自分の履修したい科目の中から、事前履修の観点で背伸びをしすぎずかつ本当に履修する可能性が高いものを必要最低単位数だけ選んで並べておくのが無難だろうと思います。
(ここらへんの履修制度の話は、自分が留学した当時の話であり現状とは違う可能性があります。これら参考にする場合は、特に注意してください。)


### せっかく勉強しに来ているのに、難易度が高い科目をとらないとはけしからん

という意見には全面的に賛成するのですが、GPAをハックする上では割り切りも必要だと思います。代替案としておすすめしたいのが、履修登録だけしてそもそも試験の受験登録しないというテクニックです。上記のmystudiesというシステムは確か学期あたり50単位まで履修登録が出来るようになっているので、自分の勉強したい科目の履修登録をしておけば、普通に講義資料にアクセスしたり授業を受けたりすることができます。交換留学用の履修管理システムには試験を受ける予定の科目だけ登録しておきましょう。自分は交換留学生のときに、この技を使ってやたらと講義資料をダウンロードしていたところ、交換留学担当者の方にお前のmystudiesの履修登録がおかしいことになっているとメールで詰められましたが、講義資料がほしいので登録していると返信したところ特に問題ありませんでした。

### 講義の難易度の判定方法

GPAをハックするには、自分のレベルにあった講義を選ぶのが大事なわけですが、徹底的に[シラバス](http://www.vvz.ethz.ch/Vorlesungsverzeichnis/sucheLehrangebotPre.view?lang=en)を使って講義内容を調べ上げるのが有効です。特に、講義内容や事前履修科目(prerequisites)あたりをよく読んでみると、想定されている事前知識がよくわかるので、履修時の自分の知識レベルである程度対応できるような科目を履修すると良いでしょう。
シラバス以外にも、過去の授業のホームページが残っていたり、[ETH Video Portal](https://video.ethz.ch/lectures.html)(ETHアカウントが必要)やYouTubeでいろいろな講義の録画が見れることもあります。こういった基本的な話の他にも、以下のような基準が役に立つかもしれません。

#### 友人、先輩、知り合いなどに話を聞く

当然これは有効。

#### 学部の必修科目は難しい

ETHのだいたいの学部は、スイスの高校卒業者は誰でも入れるが、入学試験の代わりに学部の必修科目で入学者をふるい落とすという仕組みになっています。そのため、学部では成績の付け方が厳しくなります。例えば、CS学部生の点数分布が、[CSの学生団体の記事](https://vis.ethz.ch/en/visionen/archive/)に載っていますが、これは修士よりも明らかに厳しい成績の付け方だと言えます。(例:2021年の[第2号](https://vis.ethz.ch/en/visionen/archive/issue/visionen-2021-2/)、[第4号](https://vis.ethz.ch/en/visionen/archive/issue/visionen-2021-4/)とか)また、[上記の博論76ページ](https://www.research-collection.ethz.ch/bitstream/handle/20.500.11850/117220/eth-49186-02.pdf#page=92)の学部と修士のGPAの比較を見ても同じ傾向が見て取れます。一方で、修士の講義で落単するのは珍しいくらいなので、成績の付け方は明らかに違うと言えるでしょう。

#### 試験形式を選ぶ

ETHは試験結果をメインに成績を付ける授業が非常に多いです。あとはプロジェクトや課題の提出などが3割くらい加算される事が多いです。つまり試験を制するものがGPAハックを制すると行っても過言ではないわけです。試験の形式としては主に、Written Exam(筆記試験)とOral Exam(口述試験)があるのですが、英語に自信がないならOral Examはやめたほうが良いでしょう。英語が得意だとしてもOral Examは15\~20分という短い試験時間で受験者を評価することになるため評価のブレが大きい傾向があり、あまりおすすめしません。余談ですが、筆記試験の問題は各学部ごとの学生団体のページ(例:[https://exams.vis.ethz.ch/](https://exams.vis.ethz.ch/))や過去の講義ページに転がっているので早めにチェックすると良いでしょう。なんなら、履修を組むときに試験までチェックしておくと、思ったよりも試験が難しすぎるなんていうような災難を防止できるはずです。あと、授業の後半になると教授が自分で過去数年分の過去問を配るというケースも多いです。
 
#### プロジェクトのチーム選びは大事

成績評価にプロジェクトが入ってくる場合、チームメンバー選びはクリティカルな問題です。授業用の掲示板とかでチームを探すなら、強そうな人のチームに入る(か自分で強そうな人を集める)ようにしたほうが良いです。強そうな人がチームメイトを募集している場合、同じように強そうな人、自分と同じテーマに興味がある人、プロジェクトに時間をかけてコミットする用意のある人などを求めていることが多いので、チームに入れてもらえないかコンタクトするときには、自分か上記のどの点で貢献できそうかに言及できると良いでしょう。あとは、チーム編成は早めに行ったほうが良いです。というのも、これに乗り遅れる人は大体イマイチやる気の無い人が多いからです。また、自分の英語での発表/レポート作成能力に自信がない場合は、英語力の高そうな人をチームに1人は入れるようにすると良いでしょう。ちなみに自分が交換留学中、1チーム4人のプロジェクトをやっていた時、交換留学生と組んだら自分以外の3人が所属大学の新学期のために早期帰国して離脱するという珍事があったので、交換留学生と組む場合には、本当にその授業にコミットする気がありそうか(早期帰国の予定がないか)などをよく窺うようにしたほうがいいです。

#### ガチの理論系の科目はエグいことが多いので、数学が得意でないなら避ける

ETHは非常に理論を重視した教育を行っている事で知られています。(理論によりすぎだという批判もたまにあります。)そのため、教え方がかなり理論的になるのはもちろんのこと、理論系の科目の開講数が増えます。それ自体はとても良いことだと思うのですが、GPAハックをするという観点からすると、学部交換留学中に本格的な理論系科目の試験を受けるのはおすすめ出来ません。数学が得意な人は何とかなるのかもしれませんが、普通の学部生がETHの理論科目を取ると結構大変なことになると思います。少なくとも自分は交換留学中に、最も理論によったタイプの統計学の科目の一つをとった結果、単位数に見合わない莫大な時間を消費ししGPAをちょっと下げることになりました。自分の脳みそのレベルからすると、そういう科目で良い成績を取るには、すでに半分くらい勉強したことがある位の状態でそういった科目をとるくらいがちょうと良いように思います。

#### ある程度は数式の出てくる科目を取る

これは理論的すぎる科目と取るなというのとは反対の話なのですが、数式がある程度出てくる科目のほうが、学力に比して英語力が不足している学生にとっては筆記試験が簡単になるという話です。いくら日本の学生が筆記試験に慣れているとしても、英語での筆記試験というのはそれなりに難易度が高いです。しかし、記述問題の解答に数式が絡むようになると、多少英語がおかしくても数式があっていれば点が来るので試験の難易度が下がります。幸い、ETHの教育スタイルはかなり理論によっているので、意図しなくても意外と多くの科目が数式を頻繁に使うようなものになっています。

### 日本にいるうちに、数学的なことを真面目にやる

上記のようにETHの教育スタイルは理論にかなりよっているので、日本にいるうちに理論的な授業に慣れておくと良いです。数学関係や学部上級の授業を取るのもいいですし、修士の講義に潜ってみるというのも悪くないでしょう。少なくとも自分は普通の人よりも理論的な話が気になる体質だったので、意図せずに交換留学前に応用数学系の授業をわりととっていて、それが留学後に役立ちました。

### 似たような科目を取る

専門科目というのは、隣接分野と重複している部分があるので、同じ分野の講義を幾つか取ると相乗効果があり成績が上がります。自分が交換留学をしていた時は、興味関心のあった統計/機械学習に関係する授業をひたすら取りまくっていたのですが、今思い返してみると複数の授業で同じようなコンセプトや数学的なツールを使うことが多かったので、結果的にそれぞれの授業の理解が深まったと思います。

### 日本にいるうちに似たような科目をとっておく

英語力のそこまで高くない人間にとって、新しい概念を英語で学ぶというのはかなりハードルが高いです。可能であれば、履修予定の科目の入門的な講義や隣接分野の講義を日本で取っておくと理解がスムーズになります。あと、若干せこいように聞こえるかもしれませんが、ETHで取る予定の科目と同じ科目を日本で取るのもそんなに悪くないと思います。というのも、ETHでは日本の大学に比べて履修科目数が少ない代わりに科目ごとの掘り下げ方が深いので、日本で同じ科目を履修していたとしても、ETHではそれよりもかなり掘り下げた内容を学ぶことになることが多いためです。日本で入門レベルの内容を学び、ETHでその上級版に相当する内容を学ぶというのは、割と筋の通った話と言えるでしょう。


## 推薦状をもらうための研究経験の積み方

### 研究室というものの仕組み

学部生が研究経験をどうやって積むかということを考えるときに、ある程度理解しておいたほうが良いのは、研究室というものの仕組みないしインセンティブ構造です。
研究室(または研究グループ)は主宰である教授クラスの人間と、その指導/管理の元で研究を進めるポスドクやPhD学生によって構成されています。さらに、卒論、修論などの学生も研究室に配属され研究を行うことがあります。日本では複数の教授が一つの研究室にいるような組織設計のところも多いようですが、ETHでは1教授1研究室という構成が普通だと思います。
また、研究室というのは大学組織内での研究費などの予算管理の最小単位だったりするようです。この研究室というのはその名の通り研究成果を生み出すことを目的として運営されており、研究成果というのは論文の数(と質)で測ることが出来ます。いわば、研究室とは論文工場であり、教授は工場長、ポスドクとPhD学生は作業員ないし実働部隊と言えます。

推薦状に書けるような研究経験というのは、論文工場で論文生産の手助けをすること、もしくは自身が工場内で論文を生産することにあたります。ほどんどの研究室では、教授/ポスドク/PhD学生といった各構成員が試したいと思っている研究アイディアの検証に必要な作業量が各構成員の作業量を上回っているので、学部/修士の学生がこの検証作業を手伝ってくれると結構助かるという状況にあります。ただ研究アイディアの検証作業というのは、新規手法の理論解析や実装などとかなり専門的な能力を必要とすることが多いため、学生ならば誰でも良いというわけでもありません。ではどんな学生がほしいかと言うと、1)検証に必要な特定の能力を持った学生、2)必要な能力を手取り足取り教えずともすばやく習得出来る学生です。この両者に当てはまらなくても役に立つ労働力というのはあって、それは、3)長期間にわたって働ける学生です。たとえ、必要な能力を教え込むのに時間と手間がかかるとしても、その学生が長期間に渡って研究の手伝いをしてくれるならば、最終的に元が取れるという話です。極論、金銭的/人的な投入リソースに対してのパフォーマンスが高ければ、人間でなくて猫でも犬でも何でも良いのですが、コスパが良い労働力というのは概ね上記の3パターンになります。つまりは多くの論文工場では慢性的に作業員不足がおきていて、安くて優秀な労働力が求められているということです。

### 一般的な研究プロジェクトの見つけ方

一般に、労働力を必要とする研究プロジェクトというのは現在進行系のものであり、その情報は研究室の外部にあまり出てきません。これはよく考えると当然で、現在進行系の研究テーマを公開して第三者に真似され先に論文化されてしまったら、自分たちは論文化できなくなってしまうからです。
では、研究経験の無い(あるいは浅い)学部生がどのようにして研究プロジェクトを探せば良いかということですが、教授または個々の研究室のメンバーに当たりが出るまで片っ端から連絡して、自分が安くて優秀な労働力だと納得させればよいわけです。そこで上記3つの点をどうやって抑えていくかということですが、1)については自分の得意分野(だとシグナリング出来ること)に関連する研究室や研究プロジェクトを探すということことになるでしょう。2)に関してですが、これはGPAや研究に緩く関連する分野での研究/インターンの経験などでしょうか。3)については、自分が長期間コミットできるという情報の開示の他に、自分が長期間そのプロジェクトに関わりたいという熱意を見せることなども大事でしょう。

コスパの話ばかりだと不粋なので少し違う話をしておくと、将来の学術界ないし社会に貢献する人材を育てるのは教育者としての責務だと思って、いちいちコスパとか考えずにやる気のある若者なら研究に参加する機会を与えてくれるような徳の高い研究者ももちろん存在します。こういう場合に、指導者の徳が高くなるスイッチを押すのはやはり、熱意、才能、可愛げ、あとは、TakerでなくGiverっぽい雰囲気とかでしょうか。コスパを度外視して面倒を見る手間と引き換えに、有望な若手の育成に貢献できた思ってもらえるように努力するのは大事だと思います。

### ETHでの研究プロジェクトの探し方

ETHでは、教授の数が学生の数に比べてかなり少ないので、どこの研究室も日本で言うところのビッグラボ的なスタイルで運営されています。そのため、教授は基本的に相当忙しく、学部生の世話まで手が回らないのが現状です。修士論文でさえおそらく半分以上のケースではPhD学生が修士の学生を指導しており、修論学生が教授と対面する機会は中間発表と最終発表だけだったりします。そのため研究プロジェクトを探す時は、教授に連絡するというトップダウンのアプローチよりも、現場の実働部隊であるPhD学生やポスドクに直接連絡するというボトムアップのアプローチのほうが有効だったりします。教授にYesと言わせるのがPhD受験とすると、PhD学生にYesと言わせるのが研究プロジェクト探しというような感じでしょうか。

ただし、後々の推薦状をもらう段階まで考えるともう少し工夫が必要で、最終的に教授やポスドクレベルの人に推薦状を貰えるようにする必要があります。個人的には教授レベルの人間は忙しすぎて多少研究を手伝ったくらいでは推薦状を書いてくれないこともありうると思うので、もうちょっと余裕のあるポスドクレベルの人とも仲良くなっていざとなったら推薦状を頼めるようにしておくのが良いと思います。(自分で主導した研究が論文化されるくらいの成果があれば、間違いなく教授から推薦状は貰えますが…)あとは、複数人の教授/ポスドクレベルの人と仲良くしておいて一人に推薦状を断れれても大丈夫なように冗長性を確保すると良いでしょう。そのためには、研究室のホームページなどを起点にして自分に合ったプロジェクトをやっていそうなPhD学生に当たりをつけその分野をちょっと勉強してから、そのラボの教授やポスドクに半ば偶然を装って、こういうトピックに興味があって研究の手伝いをしたいのだが、あなたのラボでそのような事は出来ないだろうかなどと聞いてみるのが良いと思います。ちなみに自分は推薦状を書いてもらったポスドクの方に最初に研究プロジェクトに参加できないか相談した際に、大学院でETHに行ってその後PhDしてみたいので研究経験を積みたいと明言していたのですが、これはコミットメントの程度が伝わりやすく推薦状を貰える確度が高まるので割と良いムーブだったなと今になって思います。あと教授、ポスドク、PhD学生というのは、自身と同じように将来PhDをしたいという学生がいると、なんとなく応援したくなってしまうものだと思うので、ちょっとでもPhDしたいと思っているならば、そういう風に明言するのも良いと思います。

教授、ポスドク、PhD学生へのコンタクトのとり方としては、主にメールと対面の2種類があると思います。
メールの場合には、CVや成績表、その他強みが分かるものを添付して、本文では端的に得意分野やモチベーション、その他のシグナリングになるようなことを書くと良いです。
教授やポスドクなどの忙しい職位の人にメールする場合、メールが長すぎると返信来ない確率が上がるので注意しましょう。
対面というのは、授業の前後や(あれば)オフィスアワーに教授や講師をしているポスドクに話しかけてみるというようなアプローチのことです。もしもその人の授業を取っているのであれば、授業前後に頻繁に質問をして熱心な学生だという印象づけをしてから、研究プロジェクトについて相談できるとなお良いでしょう。ただし、レベルの低い質問は意味がないかむしろ逆効果なので、授業中に言及された発展的な話や参考文献などを予習復習して、そういった内容について質問すると良い印象を与えられると思います。
あとはPhD学生やポスドクが個別に時間を取って面接ないしミーティングをしてくれるような場面もあると思いますが、その場合には手持ちの研究テーマと学生の興味/スキルのすり合わせがメインの話題になることが多いと思います。加えて、一緒に気分良く仕事ができそうかとかもほんの少しは見られてるかもしれません。もしそこでテーマが見つからなくても、同じ研究室内で学生の興味に沿った研究をしていそうなPhD学生を紹介してくれたりすることも結構あります。
あと、コンタクトの方法に関わらず、相手にしてもらえる可能性を上げるためには、その教授の授業を取っている or 取って良い成績を取った、その教授の研究分野に以前から興味がある、などといった尤もらしい理由を付けるのも有効だと思います。

## SoP

上記の通り、個人的にはSoPはそこまで重要ではないと思っています。ただし、重要でないというのは、ある程度まともなSoPを書いておけばそこでは差が開かないという意味であり、質の低いSoPを書けば当然合格の可能性は下がると思うので、気を抜かず準備はしてください。まともなSoPの書き方については[XPLANEのSoPの記事](https://xplane.jp/application-prep/sop/)などが参考になります。ただし、上記のSoPの記事はアカデミックなPhD出願に向けて書かれているので、ETHの修士出願では教授名はとくに言及しなくても良いかなと個人的には思います(自分はETH、EPFLのSoPには教授名を入れていません)。ちょっと話が脱線しますが、個人的にはアカデミックなSoPの書き方しかしたことが無いので、キャリア系のSoPの書き方の人はよくわかりません。おそらく有名な外資系企業とか国家公務員とかの目立つ経歴があれば、そういう書き方も可能だと思います。何はともあれ、まともなSoPにはETHについてしっかりと理解していることを示すような文章が何かしら含まれている必要はあります。アカデミックなSoPでそれをやろうとする場合、テーマ名からその修士課程に関わっている教授や研究グループが連想できるような研究テーマに興味があると書くというのが良いと思います。例えば、自分のような統計/機械学習系の出願者なら、CausalityとかBayesian Optimization、あとは確率的最適化やその亜種の理論解析などに興味があると書いてみたりするといいでしょう。あとは、ETHの十八番であるコンピュータビジョン/4足ロボット/ドローンの制御あたりは専門と重なるのであれば書きやすいかもしれません。


## 各種試験

よく言われていることですが、英語能力試験は足切りにしか使われていないと思います。アメリカ人も普通に落ちてますし。個人的にはGREもそこまでしっかりは使って無いんじゃないかと勝手に思っています。例えば、[上記の博論の107ページ](https://www.research-collection.ethz.ch/bitstream/handle/20.500.11850/117220/eth-49186-02.pdf#page=123)にGREのスコア分布が出てるのですが、ある程度低くても合格している人はいるようです。ぱっと見、本当にまずいレベルで低い点というのは概ね、AWは2.0以下、QRは155以下、VRは140以下くらいでしょうか。あとは、上記の[The Gradcafe](https://www.thegradcafe.com/)というサイトでもGREのスコアと合否についてはチェック出来ます。当然GREの高い学生の方が合格率が高いという傾向は多少はあるのですが、他の基準で評価して優秀な人は当然GREが高くなるわけなので、見た目の相関よりもGREの重要度は低いということになります。ちなみに、ETHはEU内の学生にはGREのスコアを要求していないので、出願者間の比較が難しいようにも思うので、GREをそこまで本格的には使っていないように思います。まあ、EU内とEU外で定員があるということかもしれませんが。あと、GREの提出はだいたい必須なのですが、プログラムによっては不要なケースもあるようです。



## その他注意点/補足:

### 出願締切

ETHの修士の出願期間は2つあるのですが、現時点では日本の大学を卒業予定の人が応募できるのは、早い方の締切だけのようです。
2023年入学の場合は2022/12/15が締切です。([出願スケジュールのページ](https://ethz.ch/en/studies/registration-application/master/application/how-to-apply/application-schedule.html))


### ETH内の併願

ETHでは確か修士は3つまで併願可能です。もし興味のある修士課程が複数あれば、2つ以上のプログラムに出願してみるのも良いかもしれません。たとえば、統計/機械学習をやりたいCS系の学生であれば、Statistics/Data Science/Computer Scienceの最大3つに出願できたりするわけです。


### 他校の併願

ETHにある程度の期待感をもって出願できるだけの出願書類が準備できるならば、ヨーロッパの大学院であればそこまで個別に出願書類をチューニングせずとも出願できるのではないかと思います。というのも、ETHはヨーロッパでの知名度がまあまああるので、交換留学時のパフォーマンスを元に出願者の能力のカリブレーションがしやすいためです。個人的には、同じくスイスのEPFLを併願先として強くおすすめします。EPFLは、知名度を除くと教育/研究などは完全に同レベルのETHと双璧を成す大学です。あと、その他の欧州の大学院の中では、ドイツの大学院がおすすめです。ETHがドイツ語圏でトップの大学であるため、交換留学がそこそこプラスに働くでしょうし、ドイツは非EUの学生に対しても殆ど学費をとらないという点も魅力的です。余談ですが、お金のかからない非英米留学については、もしかするとそのうち詳しく記事を書くかもしれません。[下書き](https://github.com/kstoneriv3/tips-for-studying-and-working-abroad-ja/blob/main/low-cost-grad-schools.md)までは書いたので、気になる人はそれを見て適当にGoogleで調べてください。
これは個人の印象でしか無いのですが、ETHに交換留学出来る人間が上記の対策をできれば、たとえETHには落ちたとしてもヨーロッパの大学院のどこかにはほぼ確実にひっかかると思います。

ちなみに、日本の院試は受かっておくと精神衛生上良いと思います。自分は普通に落ちまくりましたが、3つの大学院を受けて1つにギリギリ受かったので余計なプレッシャーなく出願準備に専念できました。院試で全落ちしてたら、ETHの出願書類も質が下がって落とされてたかもしれないと思います。似たような話としては、就活して内定を取っておくのも同じような精神安定剤としての効果があると思います。

### スイス/EU/それ以外の学生の話

交換留学中に、現地の修士学生に入学選考について話を聞くと大いに参考になるのですが、その学生がスイス人なのか、EU圏出身者なのか、それ以外なのかという点に一応注意したほうが良いような気もします。というのも、学生の属性によって選考基準が違うと思われるからです。スイス人とそれ以外の学生の選考基準は違って当然ですが、EU圏内とEU圏外でも選考基準が違う可能性があります。欧州ではEuropean Credit Transfer and Accumulation System (ECTS)によって教育の互換性がある程度担保されていることや、EU圏外の学生に対してGREを要求しているあたりを見ると、選考基準が多少違っても不思議は無いと思います。

### 交換留学前後にやっておくといいこと

この記事か[XPLANE](https://xplane.jp/)や[米国大学院学生会](https://gakuiryugaku.net/blog/%e3%83%90%e3%83%83%e3%82%af%e3%83%8a%e3%83%b3%e3%83%90%e3%83%bc/)の記事を読めばだいたい分かることですが、チェックリスト的な用途で使えると思うので、一応書いておきます。

- 日本にいるうちにETHでの履修を見据えた勉強をする(上記の通り)
- GPAを上げておく
- 研究室での研究の手伝い/研究インターンなどの推薦状に書いてもらえそうな経験を積む
  - 推薦状を書いてくれそうな教授と仲良くなる
  - 出来るだけ長期間その人のもとでプロジェクトとかに取り組む(どの程度その推薦者の評価が信頼できるか示すために「推薦者は、この学生を〇〇ヶ月にわたって指導した」などと推薦状に書くのが標準的なため)
  - 論文のための研究でなくても、ある程度の複雑度のある社会実装のためのプロジェクトや学術色のあるコンテストなどの経験もわりと評価される
  - もし可能なら、論文を出す

## 自分のケース

最後に自分がETHの大学院出願をした時の記録を乗せておきます。ちなみに、上記の評価ハック方法は出願後になって気づいたものもあるので、自分の出願時にこれらを総動員できていたというわけではないです。

### 交換留学中とその前後のタイムライン

- 交換留学前は、意図せず理論よりの科目を多く取っていた
- 学部4年の夏から1年間交換留学
- 秋学期
  - 授業
  - 英語での最低限のサバイバルスキルを身につける
  - 研究プロジェクト探し
- 春学期
  - 授業
  - 研究プロジェクト(Semester Projectという科目で単位認定してもらった)
  - 海外の大学院出願の方法を調べる(これも時間かかる)
  - ちょっとだけ院試のためのTOEFLの勉強
  - 院試勉強
  - 一部の奨学金は応募時期が帰国前後で早すぎたので逃したような気もするし、実績が足りなくてどうせ通らないだろうと思って見送ったような気もする
- 帰国後(学部4年の後半部分に相当)
  - 院試
  - IELTS
  - GRE
  - 奨学金応募
  - 書類作成/出願
  - なんだかんだで取っていた5コマくらいの講義
  - 卒論

### 所要時間の見積もり(他2校の出願も合わせて)
- IELTS
  - 3h * 1 months
  - 予約や採点、スコア送付にやや時間かかるので、たぶん出願の2ヶ月前までには受験しておくべき
- GRE
  - 6h * 2.5 weeks
  - 同じく出願の2ヶ月前までには受験しておくべき
- SoP執筆(+推薦状の下書き)
  - 6h * 2 months
  - 出願者がオンラインで出願を完了してはじめて、推薦者に入力フォームがメールで届くので、出願締め切りよりも早め出願を終えておくと、推薦者が入力する時間を取りやすくなって良い
  - 自分は作文とか苦手なのですが、200±100時間くらいかかったと思います
    - 書き方を理解するまでにひたすら英語でGoogle検索をすることになるが、ここに時間がかかった(XPLANEのない時代)
- その他、募集要項の理解、書類の収集やFormの入力
  - 50\~100hくらい?

これらの数字は修士を始めた頃に誰かに聞かれて答えた時ののコピペですが、今となってみるとそんなに時間使った記憶がないので、ほんまかいなという気もします。


### 出願時の手札
- GPA
  - 東大…3.69
  - ETH(交換留学)…5.55(Aセメ24単位→Sセメ28単位)
- 推薦状
  - 東大の卒論の指導教官の推薦状
    - 卒論の内容をPublishするために準備していたタイミングだったので、そのように書いてもらった(これは1回Rejectされた後、出願の約1年後に別の会議に採択された)
    - またGPAのカリブレーションの為に東大の優3割規定についても書いてもらった
  - ETHのPostdocの人の推薦状
    - その人が教えている授業を取った
    - その人の紹介でResearch AssistantやSemester Projectとしてちょっとした研究の手伝いをした
- SoP
  - ETHの統計/機械学習分野でよく研究されているテーマに言及
- GRE
  - V153, Q170, AW3.0
 - IELTS
   - L7.0, R8.5, W6.5, S7.0

自分の受験時に提出した書類を見たいという方がいらっしゃいましたら、Twitter(@kstoneriv)とかLinkedInとかで個別にご連絡ください。レスポンスがものすごく遅いときもあるので、その点についてはご理解ください。

### 合否
- Data Science…不合格
- Statistics…合格
- ちなみに似たような出願内容で、EPFLのData Scienceには合格
- あと、KAUSTのStatisticsにも多分合格っぽいとこまで行って辞退


## 最後に

- スイスやヨーロッパで遊ぶためにETHの交換留学に行くのもすごく楽しいと思いますが、あえて戦ってみるとそれはそれで得られるものも結構あるのではないかと思います。
- 評価ハックに成功して大学院留学できたら、遊びほうけても良いのですが、ある程度は真面目に勉強しましょう。そうしないと、後輩が出願するときに不利になりますので。


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FILE: low-cost-grad-schools.md
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# お金のかからない非英米留学(下書き)

## 問題意識
- ほとんどの学部生にとって、米国PhDは学術面で難易度が高すぎる
- すると米英の修士留学が浮上するが、今度は金銭面で難易度が高すぎる
  - 例えば、自分は研究成果も金もなかったので、米英は応募してない
- そんなときは非米英留学が意外と優良な選択肢になりうるが、あまり知られていない(気がする)
  - シリコンバレー行きたいとかの場合は、借金してでも米国修士にいったほうが良い場合が多いとは思う

## 非英米留学でも満たせる要件
- 修士/博士課程がすべて英語で学べる
- 世界トップレベルの研究者の元で学べる/研究できる
- 学費が安い、もしくは、逆に奨学金をもらえる

## おすすめの選択肢一覧

- ETH Zurich
  - 世界トップ10位くらいの大学
  - 修士課程は、授業料が年間20万円
  - 博士学生は、年間500〜1000万以上の給与で雇われる
    - CSとかの産業界に近い分野だと1000万もらってるひとが多い印象

- EPFL
  - 立地と知名度以外はETHとほぼ互角といえる姉妹校
  - 授業料や給与はETHとだいたい同じような感じ

- その他ドイツの名門校
  - 例えばTUM, LMU Munich
  - ドイツ、オランダ、スウェーデン、ノルウェーあたりは英語だけで卒業できる修士課程がある
  - ドイツの修士課程は、授業料が年間15万円
  - 一方、オランダ、スウェーデンは、EU圏外の学生から年間100〜200万くらいの学費を取る
  - ノルウェーの大学院は現時点ではEU圏外の学生にも無料だが、来年(2023年)辺りからEU圏外の学生から上記の国々のように学費を取ることが検討されている

- あとはAI系とかの流行りの分野なら研究系大学院もおすすめ(日本のOISTみたいな大学院)
  - サウジのKAUST(様々な理工系分野)
  - UAEのMBZUAI(AI関係)
  - ブルガリアのINSAIT(CS, AI関係)
  - ここらへんは修士と博士が一貫になっていて、合格者全員に修士から奨学金が出る(博士から入るのも当然可能)
    - KAUSTとMBZUAIは年間300万、INSAITは年間500万くらいでる
    - 教授陣のレベルが非常に高い
    - 教授陣がTeachingに忙殺されていないので、丁寧な指導が受けやすいという噂がある



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FILE: misc.md
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# 自分がいちいち書くまでもないが、もっと知られていても良いんじゃないかと思う話

- 労働ビザ
  - 海外に留学したとしても、労働ビザがないとその後現地に残れない
  - 世界のどこに行っても、文系より理系のほうが断然ビザがとりやすい
  - 米国でビザを取るのはかなり大変
  - ちなみにスイスも結構大変かも
  - 英国はこれらの国よりは難易度が低い
    - 過去5年以内に東大/京大を卒業した人は、High Potential Individual Visaというのが確実に取れる

- (学部時代の自分に向けて)すごいように見えてスタートダッシュが早いだけの人、目立つのが得意な人とかもおるので、諦めずにコツコツと頑張るの大事。
  - ゲームの存在とルールを早く知っている人は新参者からすると絶対に敵わないようにも見えるが、長期的に遥かに大事なのは学習曲線の微分計数

- (学部時代の自分に向けて)ソフトウェアエンジニアには結構種類がある。
  - 自分がよく見るのはWeb系、インフラ/システム系、数理/アルゴリズム系(DS/MLを含む)あたりだが、大体一つまともに出来れば食っていける
  - 何事も全部できればそれはすごいが、それぞれ中途半端に出来てもあまり相乗効果はないので、一つまともにできるようになったほうがキャリア上は賢い
  - あと、大学の情報系教育で学べるものは、ソフトウェアエンジニアとして必要なスキルと大きな共通部分を持つが、必要十分ではない(近い話として、[これ](https://www.swe.or.jp/background)とか、[これ](https://docs.google.com/presentation/d/1Ny4kmHE2FZMI0AuPxImokweGoAE73RAGivjDJg0kG80/edit)とか、[これ](https://nuc.hatenadiary.org/entry/2021/03/31)がある)

- PhD留学生のトップ層の才能と努力は凄まじいので、ある程度の才能が無いと再現可能性が低いかも
  - 孫正義財団とか船井財団とかの奨学生の大学院留学の記事を読んでマネをしようとしてそこそこ頑張ったが、自分の才能では1日40時間くらい無い再現できないとわかった。

- 上に行けば行くほど、親ガチャ/出生地ガチャなどを肌で感じられて面白い
  - 親ガチャには下方不可視性があるので、自分が上に上がろうとしないとたぶん気づきずらい
  - ガチャの勝ち組の前でそういった話をすると、薄っすらと嫌がられるだけで特に何のメリットもないので控えたほうが得策(な気がする)
  - あと、育ちのいい人ほど、利他的で親切な人が多い
    - 将来何かの機会に頼れるような強い人に囲まれて生きていれば、自然とそうなる
    - (学部時代の自分に向けて)Takerはそういったグループにはとけ込みにくいので、Giverの行動スタイルを身につけるのが吉

- 欧米で日本人男性はモテない傾向が有るので、そこが気になる人は欧米は居心地が良くないかもしれない
  - 憶測だが、そういった面では女性の方が楽しいと思う
  - 海外独身クラスタではパートナー問題というものがよく議論されている

- それなしで人生を楽しめるのなら、キャリアとか自己実現とか別にどうでも良い(これは自明なのだけども、ついつい忘れがち)
  - MBTIという性格診断が、個人的には面白かった(ちなみは自分はINTJ-Aというタイプらしい)
  - 自分は平均的な人よりも有意にキャリア/自己実現にエネルギーを注ぎたがる性格らしい
Download .txt
gitextract_f7y9_min/

├── README.md
├── algo-trading-job-hunting.md
├── benefit-of-getting-masters-at-ethz.md
├── from-exchange-to-grad-school-at-ethz.md
├── low-cost-grad-schools.md
└── misc.md
Condensed preview — 6 files, each showing path, character count, and a content snippet. Download the .json file or copy for the full structured content (108K chars).
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    "preview": "# はじめに\n\n## 自己紹介\n\n都内で育ち、東大工学部にある何をしているかよくわからないことで有名な学科を5年かけて卒業し、つい最近スイスのETH Zurichという大学の統計学の修士課程を卒業しました。このETH Zurichには、学部"
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    "preview": "# 海外Algo Trading就活\n\n## TLDR\n\n- 東大理系の数学的地頭が上位1/4くらいの人が2\\~3年スパンでしっかりと戦略的に対策をすると、英語が何とかなれば新卒年収3000万〜5000万の企業にまあまあの確率で入れると思う"
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    "preview": "# ETH Zurichで修士を取ると、どういったご利益があるか(下書き)\n\n- 専門性\n  - 研究よりも授業が中心\n    - 学部上級〜修士向けの専門科目が、どの分野についても一通り揃っている(日本だと、たまたま教授のド専門と被った場"
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    "path": "from-exchange-to-grad-school-at-ethz.md",
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    "preview": "# ETH Zurichでの交換留学→大学院進学の再現方法\n\n## TLDR\n\n学部でETH Zurichに交換留学できるなら、戦略的に動けばそのまま大学院進学するのは割と可能。\n\n## はじめに\n\nつい最近、スイスのETH Zurich("
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    "preview": "# 自分がいちいち書くまでもないが、もっと知られていても良いんじゃないかと思う話\n\n- 労働ビザ\n  - 海外に留学したとしても、労働ビザがないとその後現地に残れない\n  - 世界のどこに行っても、文系より理系のほうが断然ビザがとりやすい\n"
  }
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